宇野俊介専任講師(医学部感染症学)の論文がCost Effectiveness and Resource Allocation誌に掲載されました(doi: 10.1186/s12962-023-00453-9)。
論文要旨:
医学部感染症学専任講師でありHTA人材育成コースを修了後、公的分析にも参加している宇野らは、慶應義塾大学病院の入院レセプトデータを使用して、COVID-19の入院診療における医療費を算出した。研究対象者として330人が該当し、要した医療費は総額6億7867万9460円であった。一人あたりの中央値は130万4431円であった。重症度別入院医療費の中央値は、軽症で79万8810円、中等症Iで111万3680円、中等症IIで164万3909円、重症で621万0607円であった。重回帰分析の結果では、入院が一日延びるごとに医療費は4%増加した。また、軽症と比較して中等症Iは1.26倍、中等症IIは1.64倍、重症は1.84倍の医療費を要し、またICUに入室した場合は、入室しない場合に比べて2.05倍の医療費を要した。
本研究は、我が国の重症度別のCOVID-19入院医療費を示した、初めての研究である。今後我が国における医療資源配分の適正性の検討や、COVID-19に要した診療報酬の適正性などを科学的に検討するための重要な結果である。